赤ちゃんに多い食物アレルギー

1.どんな食べ物が原因になるの?

  • 鶏卵・牛乳・小麦などが原因となることが多く、患者さんの約80%は乳幼児です。
  • 近年はクルミなどの木の実によるアレルギーも増えています。

2.症状はいつ出るの?

  • 多くは食べてから2時間以内にあらわれる「即時型」です。
  • じんましん・赤みなどの皮膚症状が最もよく見られます。
  • 咳・ゼーゼー、繰り返す嘔吐や強い腹痛などが加わることもあります。
  • 急速に進行し皮膚以外の症状がみられる場合や、血圧低下や意識障害を伴う重症例はアナフィラキシーと呼ばれ、すぐに救急対応が必要です。

3.アレルギーが起こるしくみ

  • 1.湿疹などで傷んだ皮膚から食べ物の成分(アレルゲン)が侵入。
  • 2.体がその成分を「異物」と覚える ― これを感作(かんさ)といいます。
  • 3.感作された後に同じ食べ物を食べると、免疫細胞が反応して症状が出ます。

※ポイント:皮膚を健康に保つことは、感作を防ぎ、発症リスクを下げるうえでとても大切です。

4.診断と検査

食物アレルギーの診断では、まず血液検査で特定の食べ物に対するIgE抗体の値を確認します。IgE抗体が高い場合は感作されている可能性がありますが、この数値が高いだけでは“食物アレルギーである”と確定することはできません。実際にその食べ物を食べて症状が出るかを医師が総合的に判断します。

そのため、より正確に診断するために「食物経口負荷試験」という検査を行うことがあります。これは、原因と思われる食べ物を実際に食べて、症状が出るかを確認する検査です。症状はアレルゲンとなるたんぱく質の摂取量により異なるため、血液検査の結果などをもとに、食べる量を慎重に判断しながら検査しますが、それでも症状が強く出る可能性があるため、しばしば連携している入院設備のある医療機関に実施をお願いしています。

5.予防のポイント

予防の段階 具体的な対策
一次予防(感作されないようにする) ・湿疹を放置せず早めに治療し、肌を清潔で潤った状態に保つ
・家庭内で原因食物への接触を減らす環境をつくる
二次予防(感作はあるが発症を防ぐ) ・血液検査でIgE抗体が高い場合も、医師と相談しながら少量ずつ安全に食べ進めることで発症を抑えられる場合があります
・自己判断での除去や負荷は危険ですので、必ず専門医の指導を受けましょう

6.食物アレルギーの緊急時の対応と治療

アレルギーのある食べ物を誤って食べてしまったときや、初めて症状が出たときには、抗アレルギー薬(抗ヒスタミン薬)による治療が基本となります。

必要に応じて、ステロイド薬を併用することもありますが、ステロイドは即効性がないため、まずは抗ヒスタミン薬を優先して使用します。抗ヒスタミン薬は通常、服用から30分以内に効果があらわれます。

しかし、急激に症状が悪化する「アナフィラキシー」のような重い状態では、抗ヒスタミン薬だけでは間に合わないことがあります。

このようなときには、アドレナリンの筋肉内注射で対応します。アナフィラキシーを起こすリスクが高いと考えられるお子さんには、緊急用の自己注射薬「エピペン®」を事前に処方し、保護者の方にも使い方をしっかり練習していただくことが重要です。

食物アレルギー(即時型)

7.新しいタイプの食物アレルギー(消化管アレルギー・FPIES)

2000年ごろから、ミルクを飲んだ新生児や乳児に、嘔吐や血便など腸の炎症による症状が見られるケースが増えてきました。2010年代後半には、離乳食で卵黄などを食べたあとに嘔吐を繰り返す乳児も多く報告されています。

これらは「消化管アレルギー」と呼ばれ、正式には「食物蛋白誘発胃腸症」という疾患のグループに分類されます。食後2~3時間後に急に嘔吐を繰り返す「急性食物蛋白誘発胃腸炎(FPIES)(エフパイスと呼ばれます)」というタイプがよく知られています。

FPIESはIgE抗体が関与しない非IgE型アレルギーで、血液検査で異常が出ないことも多く、症状の出現が遅いのが特徴です。急性期の嘔吐にアドレナリン注射は効かないため、通常の食物アレルギーとは対応が異なります。

診断が難しい場合もあるため、気になる症状があればアレルギー専門医にご相談ください。

FPIES

まとめ

食物アレルギーには、即時型から非IgE型の新しいタイプまでさまざまな種類があり、症状や対応も異なります。正しい診断と管理、そして皮膚のケアや予防がとても重要です。ご不安な方は、症状の有無にかかわらず、お気軽に当院のアレルギー専門医にご相談ください。


山田佳之先生の著書『食物アレルギーは「皮膚」が原因だった』 【書籍紹介】食物アレルギーは「皮膚」が原因だった

当院の小児科外来(火曜午前)を担当されている、東海大学医学部教授・山田佳之先生による新しい書籍が出版されましたのでご紹介いたします。

書籍名:『食物アレルギーは「皮膚」が原因だった』

今、アレルギーの予防と治療の「常識」が大きく変わってきていることをご存知でしょうか?
本書は、その最新の答えを明快に教えてくれる一冊です。

■かつての常識と、最新の医学
アレルギー予防について、これまでこのような方法が信じられてきました。

× 妊娠・授乳中はアレルギー食品を控えるべき
× 離乳食の開始を遅らせる方が安全
× 特定の食品を食べなければ安心

これらはすべて「かつての常識」です。

最新の医学では、アレルギーの真の原因は「口」からの摂取ではなく、荒れた「皮膚」から原因物質が入る「経皮感作(けいひかんさ)」にあることが証明されています。

■このような方におすすめです
◆保護者の方へ:
乳児期に親子で正しい知識を身につけることは、お子様の生涯にわたる健康と成長を守る上で非常に大切です。
これからのスキンケアや食事の進め方について、正しい知識と指針が得られます。

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大人のアレルギーも、実は皮膚のバリア機能低下から連鎖(アレルギーマーチ)していることが多々あります。
ご自身の体質を根本から理解し、対策するためのバイブルとしてぜひご一読ください。

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